店主(藤林氏)との対談
とあるお客様と店主である藤林氏の会話です。
藤林氏
快くお話下さった藤林氏

-:今日はよろしくお願いします。
藤林氏(以下、藤):はい、よろしくお願いします。
-:忍者というと、私は時代劇でのイメージしかないんです。それで、いつも黒装束で戦ってるイメージが強いんですけど、あれって目立ちますよね。
藤:そうですね(笑)普段は農民で、狩猟をしたりして生活していたようですよ。やはり目立たないことが条件になってくるので実際はその場その場で最も適した変装をしていたようです。もちろんその為には日々の鍛錬も怠ってはいなかったでしょう。
-:鍛練と言いますと、走ったり跳んだり?
藤:もちろん心身の鍛練も大事ですが、任務の際には何日も食事を取れないことだってあったでしょうから、色々なものを食べる訓練も必要ですね。
-:なるほど、確かに腹が鳴って居場所がわかる忍者っていうのは格好悪いですね(笑)
藤:忍びに出る際には、兵粮丸などの団子も携行していたようですが、やはり日頃の鍛練は欠かせなかったでしょう。
-:普段から身体を慣らしていたということですね。
藤:はい。あとは臭いを出さないように注意していたので、刺激物も口にできませんでした。
-:体臭で居場所を突き止められる忍者…忍べてませんね。
藤:ですので、消臭術というのは大事だったようです。酒やタバコも厳禁です。
-:あぁ、私忍者になれそうにないです(笑)
藤:なるつもりだったんですか(笑)

基礎をしっかり固めて応用へ。そして、それを生活に役立てる。

-:そういえば、忍者には色々な道具を使いこなすイメージがあります。手裏剣やら水蜘蛛やら…。
藤:本当に色々な道具がありますし、それぞれもよく考えられています。
-:といいますと?
藤:やはり目立たないように、不自然でないようにと試行錯誤がされています。仕込杖などもその類ですね。
-:ぱっと見はただの杖ですものね。
藤:一目見ただけでは区別がつかないようなものはたくさんありますし、どんでん返しなどもそこが扉だとは思いませんよね。
-:敵讐に備えて様々なことをしていたそうですね。
藤:はい。普段は農民なので刀をはじめとした武器を持つことは許されていませんから、それらを隠す隠し戸や、秘密の部屋などのカラクリがあったようです。
-:家に訪ねただけで、あぁコイツ忍者だ!ってわかるようなのは忍者じゃないですもんね(笑)
藤:かと思えば火矢などの目立つ武器もあります。忍者は昔から火薬を扱えたようで、忍び六具(隠密行動の必須道具とされている物)の中にも火種があります。火種は鳥の子(煙幕弾)や焙烙火矢に点火する為には必需品ですからね。
-:なるほど、確かに火を持たずに煙幕弾を持ってても邪魔なだけですしね。
藤:火器には扱いの難しいものもありますが、それを使いこなせるのが忍者です。
-:そういう仕掛けを使いこなす為にも…
藤:鍛練ですね(笑)
-:や、やはり(笑)
藤:ただそれは今の学問や武道と同じでしょう。基礎をしっかり固めて応用を身につけ、自分の生活に役立てる。
-:忍者から教わることも沢山ありそうですね。
藤:はい。代々伝わる「萬川集海(ばんせんしゅうかい)」や様々な歴史書を読むと勉強になることが沢山ありますよ。
-:兵粮丸はそうやって現代によみがえったわけですよね。
藤:ええ。兵粮丸に関しては、学習研究社の歴史群像シリーズ特別編集「図説・忍者と忍術」にて書かせていただきましたので、一度ご覧くださればと思います。
-:今日はありがとうございました。
藤:こちらこそありがとうございました。

(文月某日:長門の間にて)